風間家<5>


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前回予告したとおり、風間家は引っ越しました。
前の家に比べるとだいぶ狭くなりましたが、
誰がどこにいるのかがちゃんとわかる家です。





プールは恐竜の形。
泳いでる本人たちにはわかりませんがね。





「うん、ちゃんと回線繋がってるわね」

さっそくパソコンのチェックをする御影。
「No PC, No Life!」だそうです





 愁「ふーん、大したことない家だな。おっさんもそう思わね?」
ヒゲ「おっさん言うな」

憎まれ口叩くわ失礼なこと言うわ…相変わらずしょーもない
だがこの少年、ノリノリであります。
なんだかんだ言って気に入ってるんじゃん。





紗矢香は引っ越し早々、ひとりで読書中。

「あぁ、この狭さ…このくらいじゃなきゃ落ち着かないわ」

紗矢香がいるのは随分狭い部屋のようですが、
ここは一体…?





石の壁に囲まれて、緑がわさわさしてます。
本当に狭く、薄暗く、もはや部屋とは言えない風情ですが

「あたしが気に入ってるんだからほっといて」

…だそうです。
実はここは玄関ホールのど真ん中に鎮座する、でっかい柱の中。
他の誰にも邪魔されないように、紗矢香だけが鍵を所持してます。
果てしなく不可解な紗矢香ワールド、果てしなく不可解な形で完成。





「あのバカお兄に邪魔されないのが一番幸せだわ」
「それにしても、この圧迫感…ああもう堪んないわね」

見てよこの嬉々とした表情。
兄のこと散々変態呼ばわりしてる紗矢香も十分変態でしたね





4人姉弟の半分が変態だと判明してしまった風間家。
引っ越しが一段落したところで、全員で公共区画へ来ました。
どうやら、御影が先日知り合ったセバスチャンに誘われた様子。
他のメンツが一緒に来たのは、それぞれに理由があり…
娘の動向を心配した志鶴、ゴシップの匂いに野次馬根性出した愁。
そして愁に連れ出された紗矢香に、ひとりの留守番を嫌がった唯月。
とまぁ、こんなかんじです。





 御影「お誘いありがとう。まさか誘われるとは思わなかったわ」
セバス「いきなり絡んでくる勝ち気な女性も嫌いじゃないんでね」

ブランコの前でいきなり口説かれる御影。
セバスにロックオンされたとみて間違いないでしょう。
御影も悪い気はしていないようで、しばらく良い雰囲気でした。





それにしても、この日の店はなぜかえらい混雑で。
人脈を広げたい御影は、そこいらで手当たり次第に挨拶回り。
セバスはセバスで、御影を呼んで話をしたいものの
同行した友人から話しかけられて御影を待たせたり…

しっかし、愁は何やらかしたんでしょうね?





…志鶴もダメ出しされてました。
息子の暴走を止められないダメな母、とか思われてるのだろうか。
さて御影ですが、ようやくセバスとの会話の続きを。
でもなんだか、心ここにあらず…?

「(あの青シャツの人の方がイケメンじゃない?)」

そりゃセバスはちょっとアレだけどさ
セバスにしっかりハート飛ばしてたじゃないですか、貴女。


そして辺りがすっかり暗くなった頃、事件が。





パパパパーーンッ

公園に響き渡る、乾いた音。
御影、セバスに平手打ちされました。

セバス「おい、あんたよくも浮気なんかできたもんだな」
 御影「 ? ??? 」





 御影「痛ったぁ…ちょっとお、いきなり何すんのよ!!」
セバス「そりゃこっちの台詞だ。あんたオレに気があったんだろ?」
    「それをだな、ヨソの男にも調子のいい素振り見せやがって」
 御影「はぁ?私がいつあんたの彼女になったっていうのよ」
    「大体、さっき付き合おうって言った時に嫌がったの誰?!」
セバス「付き合わないとは言ってない。今すぐは無理って言ったんだ」
 御影「ふん、そんなの言い訳じゃないの」
    「付き合ってないなら、誰を好きになろうが私の自由よね」

あーあーもうグダグダだ





お互いに好意を持って接していたんですが、
交際拒否された彼の前で他の男にアピールした御影と
御影がすっかり自分に惚れたと思いこんでいたセバス。
どっちも早とちり、その結果がすれ違いと誤解でのケンカに。

セバス「あんたみたいな女が、あの上品な人から生まれたなんてな」
    「いっそあんたの母親を口説いた方がよっぽど良かった」
 御影「はぁぁ?!信じらんない。もう私にも母さんにも近寄らないで」

くっついたかどうかも怪しい2人でしたが、瞬殺で破局。
さんざんな展開です。





「ムカつく!超ムカつく!!そもそもいきなり殴るってありえない」
「ああああもう本気でムカつく!人のことバカにして…」

御影さんめっちゃキレてます。

「あーもう嫌。私帰る。ひとりで飲みに行ってやる!」





と息巻いたものの…
解散宣言し忘れていたために、全員ついてきてしまいました。
セバスのグループと風間家の、総勢11名。

御影「ちょっと母さん!愁たち連れて先に帰っといて」
志鶴「あら、貴女は本当に帰らないの?あの男性とはどうn」
御影「 そ の 話 は や め て く れ る ? 」

御影が母に凄んでいる傍では、また愁がいらんことを…





こうして御影を残して帰宅した風間家の面々。
ハラヘリ状態で帰宅した愁は紗矢香に夜食を頼んだのですが、
数口食べたところで、猛ダッシュでどこかへ走りだした愁。

「や、やべえ…サヤカの野郎おおおお」

…見るからに危険ですよねアレ。





目的地はトイレ。
恐ろしいスピードで、一番近い2階のトイレに駆け込みました。
なんとか事なきを得ようとしたものの

「くそっ、冗談抜きにやべえ……ッ!」






チーーン

残念ながら、便器に座らずして便意全回復。
すっかり無の表情になった愁。ドンマイ!





「ふふっ、仕返し成功…っと。効果もバツグンだったみたいね」
「あの下剤…さすが『完全極秘ウラノート』のネタだけあるわ」

紗矢香が下剤を手作りして混ぜていたようです。
いくらトイレの恨み(第2話参照)があったとはいえ…Sすぎる。

「でも人前で漏らさないようにはしてあげたのよ?(ニコッ)」

冗談抜きにやべえ…この妹。
閉所フェチな知識願望…変態っぷりが明るみに出つつあります。


※『完全極秘ウラノート』なる書物は実在しません。


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